第86回コラム 「またまた営業秘密漏洩事件が発生」
今回は、東京メトロ銀座線「浅草駅」より徒歩10分の所に鎮座する、浅草富士浅間神社(台東区浅草5-3-2)をご紹介します。江戸時代、富士山信仰の最盛期において、当初蔵前に富士山遙拝所として創建された後、幕府の命で当地に移転されたとのこと。富士山山開きの6月1日には富士参りに行けない人々が当社の富士塚に参詣したとのこと。
2023年4月26日、大手総合商社の双日株式会社の社員が秘密情報漏洩で逮捕されたとのニュースが流れました。
近年、営業秘密漏洩事件が毎年のように報道されています。
主要な事件を下表1に示します。
そこで、秘密情報漏洩の実情を調べてみました(下記グラフ1参照)。
相談件数は横ばい傾向ですが、検挙数は増加傾向にあることが解ります。
相談件数が横ばい傾向であるということは、秘密情報漏洩と思われる事案が横ばいということであり、実行者たる従業員の認知が広まっていることが推測されます。
一方、検挙数が増加傾向ということは、外見的にも内面的にも秘密情報漏洩が明らかな事件が増加していることが推測されます。言い換えれば、秘密情報漏洩の危険性が高まっていると言えます。
では、秘密情報を漏洩する動機は何でしょうか?
下記グラフ2によれば、中途退職者による秘密情報漏洩が最も多くなっています。また、在職者による秘密情報漏洩もあります。
転職の一般化が進む現状においては、中途退職者による秘密情報漏洩が今後も増加すると推測されます。
では、秘密情報漏洩の動機は何でしょうか
グラフ2から、秘密情報漏洩の主要な動機は以下の3つが推測されます。
(1)退職理由に基づく組織、又は個人に対する恨み
(2)転職先での優位性獲得
(3)個人的利益の追求
上記動機に基づく秘密情報漏洩を抑止するにはどうすれば良いでしょうか。
(1)退職理由に基づく組織、又は個人に対する恨みに対しては、公平な人事評価や人間性が尊重される対応(不満を貯めさせない)が重要と思います。
(2)転職先での優位性獲得に対しても、上記(1)が重要と思われます。
(3)個人的利益の追求に対しては、人間性が尊重される対応が重要と思われます。
では、具体的にはどうすれば良いでしょうか。
秘密情報漏洩の一般的な対策は、以下であると言われています。
(1)入退社時の秘密保持契約締結
(2)競業避止義務契約締結
(3)アクセス権の設定
(4)記録媒体の持ち込み禁止
(5)秘密情報の明示
(6)退職申し出直後からアクセス権を解除
(7)退職申し出前後のメールやログの点検
(8)退職直後にID、アカウント等の削除
(9)秘密情報漏洩は重大犯罪であることの周知
雇用側、特に競合他社の従業員を雇用する場合の対策
(1)競合他社との秘密保持契約、競業避止義務契約の確認
(2)競合他社の秘密情報を業務に使用しない旨の契約
しかし、最終的には、秘密情報持ち出しの気持ちを生じさせない、換言すれば、職場における適切な人間関係を構築することが重要であると考えます。
皆様における秘密情報管理向上の一助になれば幸いです。
下記コラムも参照下さい。
第20回「営業秘密情報の保護についてⅠ」
第21回「営業秘密情報の保護についてⅡ」
第59回「秘密情報漏洩で困らないために」
以上