第85回コラム 「操作画像の意匠について」

 今回は、東京メトロ銀座線「浅草駅」より徒歩15分の所に鎮座する、合力稲荷神社(台東区浅草6-42-8)をご紹介します。山谷村の住人が郷中の鎮守として奉斎したのが始まりと伝えられている。ご祭神は、保食命(うけもちのかみ)です。江戸時代に日本一の力持ちと言われた、三ノ宮卯之助(さんのみやうのすけ)が持ち上げた力石が置かれています。

【合力稲荷神社正面】
【社殿正面】
【力石】
【境内内掲示】(筆者撮影

 以下の紹介が皆様においてご参考になれば幸いです。
 令和元年改正意匠法において、物品から離れた画像自体も意匠登録の対象になりました(意匠法第2条)。
☆保護対象画像
 保護の対象になった画像は、下記(1)~(3)です。
 (1)機器の操作の用に供される画像(以下、「操作画像」という。)。
 (2)機器がその機能を発揮した結果として表示される画像(以下、「表示画像」という。)
 (3)(1)と(2)の画像の一部(部分意匠)
☆操作画像を意匠出願する場合の注意点
 「操作画像」を出願する場合、「意匠に係る物品」の欄に、画像の具体的な用途を記載する必要があります。
 例:情報表示用画像、コンテンツ視聴操作用画像、取引用画像、音量設定用画像、数値入力用画像等
 立体的な画像の場合、「画像正面図」、「画像右側面図」等のように「画像○○図」との図の表示を用いて画像を特定する。
(出所:改定意匠審査基準の概要)
☆登録事例
 家電製品、産業機械、農業機械等種々の装置の操作画像が登録されています。
 操作画像の意匠は、上記(3)に示す部分意匠が多いようです。意匠の胆部分(特徴)を権利化する意図であると思われます。
 以下、操作画像の登録事例をご紹介します。

☆ 意匠登録第1741340号(部分意匠)
 意匠に係る物品:照明機器操作画像
 意匠権者:パナソニックIPマネジメント株式会社
 意匠に係る物品の説明:本画像は、照明機器を操作するための画像であり、モードおよび座席を選択することで、選択した座席位置の照明を好みに調整することができるものである。使用状態を示す参考図で示す「リモート」と記載された部分を選択すると、変化状態画像図1に遷移し、「チームワーク」と記載された部分を選択すると、変化状態画像図2に遷移する。

【画像図】
【変化状態画像図1】
【変化状態画像図2】

 ☆ 意匠登録第1740986号
 意匠に係る物品:操作部表示画像
 意匠権者:株式会社KPMG Ignition Tokyo
 意匠に係る物品の説明:この画像は、ディスプレイに表示された仮想空間に所在する仮想ユーザーを移動させるための、又は仮想ユーザーの視点を変更させるための操作部を表示する画像である。操作部は、矢印キー、文字キー及びマウスを含む。使用状態を示す参考図に示すように、ディスプレイには、仮想ユーザーの視点から見た仮想空間及び本画像等が表示される。操作部の矢印キーは上矢印キー、下矢印キー、左矢印キー及び右矢印キーを備え、それぞれ、キーボードの上矢印キー、下矢印キー、左矢印キー及び右矢印キーに対応する。ユーザがキーボードの上矢印キーを押した場合、仮想ユーザは前進し、キーボードの下矢印キーを押した場合、仮想ユーザは後進する。ユーザがキーボードの左矢印キーを押した場合、仮想ユーザは左回転して、視線を変更し、キーボードの右矢印キーを押した場合、仮想ユーザは右回転して、視線を変更する。またユーザがキーボードのシフトキー及び左矢印キーを押した場合、仮想ユーザは視線を前に向けたまま左進し、キーボードのシフトキー及び右矢印キーを押した場合、仮想ユーザは視線を前に向けたまま右進する。 操作部の文字キーは、例えば「W」、「A」、「S」、「D」であり、「W」は前進、「A」は左進、「S」は後進、「D」は右進を示す。操作部の文字キーはキーボードの文字キーに対応する。ユーザがキーボードの文字キーを操作した場合、仮想ユーザは視線を変更することなく、文字キーが示す方向に移動する。例えば、キーボードの「A」を操作した場合、仮想ユーザは視線を前に向けたまま左進する。 例えば、ユーザが左クリックボタンを押した状態でマウスを操作した場合、仮想ユーザは、その場で回転し、視線のみを変更する。

【画像図】
【使用状態を示す参考図】

 ☆ 意匠登録第1740557号(部分意匠:黄色部を除く)
 意匠に係る物品:射出成形機操作画像
 意匠権者:株式会社ソディック
 意匠に係る物品の説明:この画像は、射出成形機のコントローラ部の画面に表示され、射出成形機の各構成装置に対して各種設定を行うための画像である。この画像において意匠登録を受けようとする部分は、名称参考図に示すように中心に位置するメイン画面の部分である。この画像は、複数の大領域に分割され、各大領域内は複数の小領域に分割されている。射出成形を行う際に各構成装置に対して設定する必要のある全ての項目を小領域に数値を入力する等により一画面で設定することができる。また、「使用状態参考図1」、「使用状態参考図2」および「使用状態参考図3」に示すように設定により画像の背景色、大領域の背景色、小領域の背景色を変更することができる。

【画像図】
【名称参考図】
【使用状態参考図1】
【使用状態参考図2】
【使用状態参考図3】

 ☆ 意匠登録第1739948号
 意匠に係る物品:塵芥収集車操作画像
 意匠権者:新明和工業株式会社
 意匠に係る物品の説明:本画像は、例えば、使用状態参考図に表すように、塵芥収集車の塵芥積込装置の操作状況を表示するための画像であり、右側に塵芥積込装置を操作するための5つのボタン(積込、停止等)が表示され、左側には、ロック解除ボタン、ブザーボタンが配置されており、各ボタンに触れることにより、ボタンに対応する塵芥積込装置の動作が行われ、中央枠内の画像の塵芥収集車等に反映される。

【画像図】
【使用状態参考図】

 ☆ 意匠登録第1707466号(部分意匠)
 意匠に係る物品:操作画像
 意匠権者:東芝テック株式会社
 意匠に係る物品の説明:この画像図に表された画像は、店舗等において店員が業務を行うための情報端末等で、商品の金額等の詳細情報を変更操作するための操作用画像である。

【画像図】
【参考画像図】

 ☆ 意匠登録第1736125号(部分意匠)
 意匠に係る物品:作業機操作画像
 意匠権者:株式会社クボタ
 意匠に係る物品の説明:画像図は、作業機の操作パネル等に表示され、作業機の現在の状態を示すとともに、操作部等を説明する参考図に示したアイコン1~3を操作ダイヤルやタッチパネルなどによって選択することによって、作業機の各種設定のための操作用画像に遷移するように構成されている。

【画像図】
【操作部等を説明する参考図】

 ☆ 意匠登録第1735964号(部分意匠)
 意匠に係る物品:バーチャルアシスタント装置操作画像
 意匠権者:日本特殊陶業株式会社
 意匠に係る物品の説明:本物品は、バーチャルアシスタント装置に用いられる画像であり、バーチャルアシスタント装置を操作するための操作用画像である。バーチャルアシスタント装置は、仮想的な補助者であるキャラクタを情報端末のディスプレイに表示させつつ情報端末から利用者に対して発話を行うような「疑似発話動作」を行うことで利用者を補助し得る装置である。本画像は、バーチャルアシスタント装置がキャラクタとユーザとの間で会話を行う「会話モード」であるときに表示される画像である。第1ボタン及び第2ボタンは、ディスプレイに表示されるキャラクタとの会話の最中においてキャラクタの問いかけに対する「ユーザの回答」を入力するために画面に表示される。ユーザによって第1ボタンを選択する操作がなされるとキャラクタを含むバーチャルアシスタント装置の対応が第1ボタンに対応するアクションに移行し、第2ボタンを選択する操作がなされると第2ボタンに対応するアクションに移行する。

【画像図】
【使用状態を示す参考図】

 ☆ 意匠登録第1735399号(部分意匠)
 意匠に係る物品:エアーコンディショナー操作画像
 意匠権者:三菱電機株式会社
 意匠に係る物品の説明:本画像は、例えばサービス付き高齢者向け住宅において、エアーコンディショナーの状態を確認することを目的とした操作用画像である。具体的には、各居室に設置されているエアーコンディショナーの運転や除湿、送風などを必要に応じて操作、調整するための画像である。
【画像図】 【名称を示す参考画像図】 【使用状態を示す参考図】

【画像図】
【使用状態を示す参考図】
【使用状態を示す参考図】

 ☆ 意匠登録第1734498号(部分意匠)
 意匠に係る物品:照明装置の操作画像
 意匠権者:株式会社ジャパンディスプレイ
 意匠に係る物品の説明:本願意匠に係る画像は、別途照明装置から出射される光の形状を操作するための画像である。使用者が画像内の「調整ツマミ」をタッチ操作等で上下又は左右に動かすことにより「形状表示部」の縦横比が変化し、この「形状表示部」の形状の変化に沿うように照明装置から出射される光の形状も変化する。本願画像が電子機器等に表示された状態の例を「使用状態を示す参考画像図」に表す。壁面に投射された状態の例を「画像図の投射状態を示す参考図」に表わす。
 【画像図】 【名称を示す参考画像図】 【使用状態を示す参考図】

【画像図】
【使用状態を示す参考図】
【使用状態を示す参考図】

 ☆ 意匠登録第1734371号(部分意匠)
 意匠に係る物品:情報取得操作画像
 意匠権者:booost technologies株式会社
 意匠に係る物品の説明:意匠に係る画像は、取り込んだ文字情報を取得する操作に用いる画像である。情報を取得する操作は、例えば、参考画像図、変化した状態の参考画像図1から4に示すように順に実行する。まず、参考画像図において、ファイル表示領域部に表示されたファイル情報の文字情報に対して、請求年月、供給地点番号、請求金額及び電力使用量のうち、例えば「請求金額」を選択すると、変化した状態の参考画像図1に示すように変化する。ファイル表示領域部の中間位置の文字は、上から「請求金額」、「1,225,530」(数値)が表示されている。次に、ファイル表示領域部に記載された請求金額の数値を取得するため、周辺の文字列の「上の文字を入力」のボックスに、数値の上に表示された「請求金額」を、変化した状態の参考画像図2に示すように入力する。続けて、周辺の文字列との文字間の「上の文字間を入力」のボックスに、取得したい数値の上方向に位置する請求金額(文字列)との文字間である「3」を、変化した状態の参考画像図3に示すように入力する。最後に、右下の「該当の文字列を取得」のコマンドボタンを選択すると、変化した状態の参考画像図2と3の入力情報より請求金額の数値が取得され、変化した状態の参考画像図4に示すように、取得結果の下方に請求金額の数値が表示される。

【画像図】
【参考画像図】

【変化した状態の参考画像図1】
【変化した状態の参考画像図2】

【変化した状態の参考画像図3】
【変化した状態の参考画像図4】

 ☆ 意匠登録第1701883号
 意匠に係る物品:利用登録操作画像
 意匠権者:株式会社 みずほ銀行
 意匠に係る物品の説明:銀行取引の利用登録の操作を行うための画像である。

以上

商標・意匠登録の事前保護に

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