第76回コラム 「ハーグ協定を利用した中国における意匠出願について」

 今回は、先月ご紹介した長命寺から隅田川沿いに約1Km上流にある白鬚神社(墨田区東向島3-5-2)をご紹介します。天暦五年(951年)に近江国の白鬚大明神の御分霊をこの地に祀ったとのこと。氏神としてばかりでなく、商売繁盛、方災除け、厄除けの神として多くの人々の崇敬を受け、隅田川七福神の寿老神でもある(東京都神社庁HPより)。訪問した日は例大祭が行われていました。

【白鬚神社参道】
【本殿】
【白鬚神社例大祭】(筆者撮影)

 今回は、中国の「ハーグ協定」発効後、現時点で明らかになった審査実務をご紹介します。
ご案内の通り、本年5月5日より、中国においてハーグ協定に基づく意匠出願が可能になりました。施行後、間もないため、ハーグ出願の中国における扱いが不明でしたが、現時点において判明した事項に関し、ご紹介します。
1、適用範囲
 香港及びマカオには適用されません。換言すれば、香港及びマカオは別出願する必要があります。
2、代理人への委任
 中国特許庁に関する手続を行う場合、中国に住所または営業所がない外国人は、中国の代理人に委任しなければなりません。例えば、拒絶理由通知を受けて応答する場合、 中国代理人に依頼しなければなりません。
3、宣言事項
 下表の項目を宣言しています。

4、中国における審査実務
 (1)色彩の保護を求める場合、簡単な説明に明記しなければならない。
 (2)類似意匠を一出願に含める場合、簡単な説明においてその1つを基本意匠にしなければならない。
 (3)一出願に含めることができる意匠数
   1件の出願で10意匠迄含めることができる。但し、類似意匠でなければならない。
 (4)図面
  ① 原則6面図が必要。
  ② 各図面の縮尺が同一。
  ③ グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)も可能。
 (5)優先権主張
   出願時に優先権書類の写しまたはDASコードを提供。
 (6)新規性喪失の例外
   国際出願段階で新規性喪失の例外の声明及び関連証明書類を提出しなければならない。
 (7)分割出願
   ハーグ出願において、一出願に複数意匠を含めたが、一部の意匠について非類似であるとして拒絶査定された場合、分割出願をすることができます。
   また、国際公開日から2か月以内に中国国家知識産権局に分割出願をすることができます。当該分割出願は、中国における意匠出願として処理されます。

※ハーグ出願において中国を指定する場合、中国弁理士等から更なる情報収集することをお薦め致します。

以上

商標・意匠登録の事前保護に

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