第124回コラム 「キャラクター名の活用について」

今回は、東京メトロ日比谷線・東西線「茅場町駅」から徒歩約1分に鎮座する日本橋日枝神社(中央区日本橋茅場町1-6-16)をご紹介します。

同社は、永田町の日枝神社の摂社とのこと。岩代稲荷神社も合祀されています(境内掲示より)。

※摂社 ・・・ 本社とは別に、その神社の管理に属し、その境内または神社の附近の境外にある小規模な神社のこと

【正面入口】
【鳥居】
【社殿右手より】
【社殿左手より】

(筆者撮影)

今回は、商標活用の参考になる判決(知財高裁令和8(行ケ)10009)を紹介します。原審は特許庁における取消2024-300908不使用取消審判です。

本事件は、イートウェル株式会社(原告)が東都生活協同組合(被告)が所有する下記登録商標に対し、不使用取消審判を請求したところ、特許庁は被告による使用を認定した審決をしたことから、原告が不服として知財高裁に提訴した事件です。

■ 商標登録第5741277号

■ 登録商標「たべるん」

■ 指定商品役務(取消に係る役務は青字部です。)

第35類  織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,葬祭用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

【経緯】

平成27(2015)年02月13日 登録

令和06(2024)年12月03日 審判請求書

令和06(2024)年12月17日 不使用取消審判登録

(要証期間:令和3(2021)年12月16日~令和6(2024)年12月17日)

令和07(2025)年01月27日 答弁指令

令和07(2025)年03月10日 答弁書

令和07(2025)年03月27日 弁駁指令

令和07(2025)年04月21日 弁駁書

令和07(2025)年12月24日 審決

令和08(2026)年01月22日 提訴

令和08(2026)年06月29日 判決

【被告の主張】

 新プライベートブランド「わたしのこだわり」のコンセプトが紹介されているwebサイトに、例えば下図1の「るんるんズ」と称するキャラクターの1人の名称として「たべるん」の文字(以下「使用商標」ということがある。)が表示されていることから、要証期間内に使用商標が使用されたといえる。

【図1】

(出所:https://www.tohto-coop.or.jp/commodities/watashinokodawari/index.html)

 2021年12月15日にサーバーにアップロードして公開(答弁書)

【原告の主張】

 「たべるん」はキャラクターの愛称であり、役務の出所を表示する識別標識として使用していない。

【争点】

争点は、商標法第50条における「使用」でした。

第五十条 継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

2 前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。

【特許庁の審決】

東都生協の新プライベートブランド「わたしのこだわり」のコンセプトが紹介されているWebサイトに、「たべるん」のキャラクターがブランドの商品の宣伝広告の役割のもと表示されていることから、商標を使用していたと認められる。

【知財高裁の判断】

商標法第26条1項6号において、商標的使用がされていない商標については、商標権の効力が及ばない旨が定められているのに対し、第50条ではかかる限定がなく、その文言通り、指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、需要者において何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識しうる態様により使用されていることまで要しないと解することが相当であると認定し、審決に誤りはないと判決しました。

【本事件の教訓】

1, 不使用取消審判では「商標的使用」まで要求されない。

2, キャラクター名としての使用であっても、指定商品・役務に関連する広告に付されていれば「使用」になる

3, キャラクター名が商品説明ページに登場するだけで「使用」と認められる可能性がある。

4, 小売・卸売り業者は、キャラクター名を商標登録した場合、ウェブサイトやカタログにキャラクター名を表示させるだけで「使用」になる可能性がある。

【まとめ】

従来、キャラクター名は、商品・役務との関連が薄く、不使用取消審判によって取り消される恐れがあるため、商標登録をためらっていたかもしれません。

しかし、今回の判決によって、商標的使用でなくとも使用認定されたため、商品のパッケージにキャラクター名を表示したり、商品・役務紹介のWebサイトやチラシに表示しておけば、取消を免れる可能性が大きくなったので、キャラクター名を使った下記の販促戦略が有効であると考えます。

  1. キャラクター名=案内役”としてブランド世界観を構築する。
  2. キャラクター名を“シリーズ化”してブランドの厚みを作る。
  3. キャラクター名を“商品カテゴリー”に紐づける。
  4. SNS・動画でキャラクター名を“語り手”にする。
  5. キャラクター名を“キャンペーンのタイトル”に入れる。
  6. キャラクター名を“商品パッケージ”に登場させる。
  7. キャラクター名を“顧客体験の案内役”にする。

以上、ご活用下さい。

以上