第64回コラム 「株式会社東京証券取引所コーポレートガバナンス・コードについて」

 今回は、JR総武線馬喰駅近くに鎮座する竹森神社(中央区日本橋小伝馬町19-4)をご紹介します。この付近は、江戸時代竹藪が多かったことに由来して「竹森」が採用され、「江戸七森※1」の一つに数えられていたとのこと。

※1 江戸七森「椙森」すぎのもり堀留,「烏森」からすもり新橋,「初音森」はつねのもり馬喰町,「柳森」柳原土手,「あずまの森」向島,「笹森」ささのもり谷中,「竹森」小伝馬町(境内掲示より)

【正面】
【本殿正面】
【隣接公園側より】
(筆者撮影)

 令和3年6月11日、日本取引所グループは、「投資家と企業の対話ガイドライン」と題して最新のコーポレートガバナンス・コード※2を発表しました。これに先立つ4月11日「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」と題して、今回の改訂の狙いを公開しました。この中の、Ⅱ.本コードと対話ガイドラインの改訂に当たっての考え方、3.サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への取組みの項において、知的財産に関する下記の記載がなされました。
「人的資本への投資に加え、知的財産に関しても、国際競争力の強化という観点からは、より効果的な取組みが進むことが望ましいとの指摘もされている。」
「また、企業の持続的な成長に向けた経営資源の配分に当たっては、人的資本への投資や知的財産の創出が企業価値に与える影響が大きいとの指摘も鑑みれば、人的資本や知的財産への投資等をはじめとする経営資源の配分等が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うことが必要となる。」

【図1】知的財産権の種類

 これを受け、上場企業は知的財産に関する取り組みに力を入れてくると思われ、全社的に知的財産に関する関心が従来以上に高まることは必至であると考えます。すなわち、上場企業従業員の知的財産に関する関心が高まり、外注先等関係する企業の評価においても知的財産の観点が重みを増してくるものと思われます。
 そこで、上場企業に拘わらず、御社の事業における知的財産状況や戦略を「知的財産報告書」等の名称で取りまとめることをお薦め致します。経営者、従業員への説明、顧客へのプレゼン等々利用機会は多々あると思います。
 2000年前の古い話ですが、私も知的財産報告書擬き(主にリスク面)を図面入りで作成し、説明に用いたところ、社内の理解に有用であったことがあります。
 では「知的財産報告書」には何を盛り込めば良いのでしょうか。
 少なくとも、知的財産ポートフォリオが必要と考えます。
 知的財産ポートフォリオとは、言わずもがなですが、当該企業が保有・管理する特許網等と言うことが出来ます。
 知的財産ですので、企業の特性に対応して、特許ポートフォリオ、意匠ポートフォリオ、商標ポートフォリオ等があります。
 各ポートフォリオは、当該企業における事業を守ったり、シェアを拡大したりなどの、自社の事業を有利なものにするツールとして利用することが出来ます。また、公表するか否かは別として、係争等のリスクも含めるべきであると考えます。
 これにより、戦略的集中的に資金と人を事業へ投入する判断に役立てることができると考えます。また、定期的に見直しを行い、継続することが重要であると思います。

各情報の詳細は下記URLをご参照下さい。

コーポレートガバナンス・コード:
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/

コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について
https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210406/01.pdf

参考知的財産報告書
株式会社ブリヂストン2018知的財産報告書
https://www.bridgestone.co.jp/corporate/library/ip_report/pdf/ipr2018.pdf

※2 上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)においてガイドラインとして参照すべき原則・指針です。2015年3月5日に「コーポレートガバナンス・コード原案(以下:「原案」)」が金融庁と東京証券取引所により公表され、爾後、時代の変遷に合わせて改訂されています。

以上 

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