第9回 中国においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースの意匠が登録可能!!
今回は中国のホット情報をお伝え致します。
中国国家知識産権局は、2013年10月22日に専利審査指南(我が国の審査基準に相当)改正草案の意見募集を開始しましたが、本年3月17日に「特許審査指南」の改正を公布しました。「改正特許審査指南」において、グラフィカル・ユーザー・インタフェース(graphical user interface:GUI)を含む製品の意匠が、中国特許(意匠登録)を受けることができると明確に規定されました。
本「改正特許審査指南」は、出願日(優先日)が本年(2014年)5月1日以降である意匠出願に対して適用されます。
ご承知の通り、中国における意匠制度は新規性・創作非容易性は審査されずに無審査で登録されます。新規性・創作非容易性については特許再審委員会に対し無効申立てがあって初めて審査されます。
中国における意匠出願件数は、表1に示すように年間60万件を超え、GUIが対象になれば、更に大幅な増加が見込まれます。また、中国意匠出願の特徴は内国人の出願比率が98%にも達することです。更に、既にご案内の通り知的財産関連の訴訟件数は世界一であり、表2に示すように大凡、我が国の20倍、米国の2倍に達しており、今後益々増加することが想定されます。すなわち、GUIを採用する機器メーカーにおいては、中国における訴訟リスクが極めて高まります。
これに対し如何に対処すべきでしょうか?
やはり、GUIについて中国において意匠出願し、登録しておくことが最も効果的であると考えます。侵害問題が発生した場合には、自己の意匠権(意匠特許)に基づく実施であると主張することが最も有効だからです。また、中国登録意匠を調査し、同一又は類似意匠が無いことを確認した上で販売(輸出)することも必要です。日本語でコンタクト出来る特許事務所も多いので、自社で対応することも可能です。
今回の「特許審査指南」の改訂をきっかけに、中国における意匠戦略の見直しをされては如何でしょうか?
ご参考までに「改訂特許審査指南」の概要を下記致します。
1.GUIを含む製品意匠について、製品全体の外観設計図面を提出する。
GUIが動的意匠である場合、出願人は製品全体の外観設計図面を1以上提出する。
他の状態について、重要な骨格の図面のみを提出することができる。
提出された図面により、動的意匠における変化を確定する。
2.GUIを含む製品意匠出願について、必要に応じ、GUIの用途、製品における領域、
ヒューマンコンピュータインタラクションの方式及び変化状態等の説明が必要。
3.ゲームインタフェース及び、ヒューマンコンピュータインタラクションに関連しない、
または、製品機能の実現に関連しない表示装置が示すパターン、例えば、電気スクリーン壁紙、電源ON/OFFの画面、ホームページにおける図面、及び、文字の組合せについては意匠登録を受けられない。
4.無効審判において、GUIを含む製品意匠について、当該GUI意匠の他の部分の意匠が慣用意匠である場合、
当該GUIは類否判断において大きな影響を与える。
【表1】
【表2】
以上