第35回 「大幅な効率化のための職務発明規定の一例」

今回は、神田明神の裏手に鎮座する妻恋神社を紹介します。日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征の際、三浦半島から房総への航行途中に暴風雨にあい、妃の弟橘姫(おとたちばなひめ)が海に身を投じて海神の怒りを鎮めた。その途中、湯島の地に滞在した際、郷民が尊の姫を慕う心をくんで、尊と姫を祀ったのがはじまりと伝えられる。江戸時代には、妻恋稲荷の名で有名となり、王子稲荷と並んで参詣者を集めたとのことです。

さて本コラムの第31回から第34回まで、職務発明制度の改正を説明しました。そこで今回は、職務発明制度の改正を取り入れ、最も簡易かつ省力化した新たな職務発明規定について一つの提案をしたいと思います。但し、現存する職務発明規定よりも条件が低下する場合、問題が生じる場合がありますので、新たに職務発明規定を制定する場合にお薦め致します。

1.特許を受ける権利の帰属について
当然に、法人帰属とする。後々トラブルになることを避けるには、原始的に法人帰属とすることが必要です。

2.相当の利益について
(1)出願褒賞について
登録時褒賞と併合することをお薦めします。工数低減のためです。
(2)登録褒賞について
登録時褒賞に実績褒賞を含めることをお薦め致します。実績褒賞の煩わしさを解消するためです。
(3)実績褒賞について
登録時褒賞に併合することをお薦め致します。この場合であっても、実施の有無の立証は、発明者から行わせるべきと考えます。実施内容は、発明者が最も良く把握しているからです。
(4)まとめ
以上より、登録時褒賞に出願時褒賞及び実績褒賞も一体化されることから、褒賞は1回で完了します。これにより、褒賞業務を効率化でき、大幅に社内工数を低減することができます。また、褒賞(金額等)を発明の質、業績への貢献度等によって複数にランク分けすることをお薦め致します。会社への貢献度を考慮しない場合、発明者のモチベーションに影響を与えると考えるからです。
さらに、実施の立証を発明者に行わせることにより、効率が上がります。

3.褒賞授与のきっかけ
発明者申告制をお薦め致します。すなわち、年に一度、所定期間を設定し、発明者から褒賞申請を受け付ける方式をお薦め致します。発明者の意識を高めるためです。また、発明者自らが他社製品を調査するなどの効果が期待できます。

以上

創造性のある著作物保護に

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