第18回 「商品・役務のネーミングについて」

新年明けましておめでとうございます。
本年も皆様にとって良い年になることを心より祈念しております。

さて、この20年来、正月の私の恒例行事と言えば、ジョギングでの初詣です。朝まだ暗い中を出発し、約2時間の道すがら、神社仏閣を訪れ商売繁盛、家内安全等々祈念します。一昨年に事務所を開設してからは、さらに、故郷の神社と事務所近くの神田明神がこれに加わりました。西日本には「三社参り」という風習(元日または三が日の間に3つの神社を訪れ初詣を行う)があるようですが、私の場合はいわば「四社一寺参り」です。
今年の元日も、例年通り寒風吹きすさぶ中を出発し、川崎市麻生区にある岡上神社から、町田市にある菅原神社、そして、関東八十八ヵ所霊場第64番霊場岩子山千手院までをジョギングで巡った後、車を飛ばして一路、故郷の下総国相馬鎮守延喜式内蛟?神社まで足を延ばしました。それぞれの神社仏閣で商売繁盛、家内安全、そして、読者の皆様並びにお客様のご繁栄を祈念し、気持ちを新たにすることができた次第です。本コラムも新たな気持ちで書いてまいりますので、本年も宜しくお願いいたします。

さて、今回は商品・サービスのネーミングについてお話し致します。
言わずもがなですが、ネーミングはプロモーションの関係では極めて有効です。
まず、私が良いネーミングであると思う例をみてみましょう。
株式会社レナウン様の靴下に「通勤快足」があります、この商品は1981年の発売当初は「フレッシュライン」というネーミングで販売されていました。このときの売上は初年度で3億円だったそうです。ところが「通勤快足」に改名したところ、改名から2年目で45億円に急増したとのことです。当然ですが、下図のように、商標権も取得しています。意外にも図形商標であり、「足」の字の右側の点々が蒸れない、臭わないイメージを湧かせます。

2つ目には、小林製薬株式会社様の「熱さまシート」です。これも商標登録されています。

次にこれらの商標の優れているポイントを見てみましょう。
ネーミングが良いかどうかのポイントは、以下の7つの項目によって評価するのが良いと言われています。
①呼びやすいこと。これは原則7音以下が良いとされています。
②読みやすいこと。
③覚えやすいこと。これは、多くても2・3回程度の接触で覚えられるということです。
④見やすいこと。
⑤聞きやすいこと。これは、紛らわしい発音がなく聞き間違いが無いということです。
⑥連想しやすいこと。これは、商品・サービスの中身が連想できるということです。
⑦商標登録可能であること。模倣を排除するため、商標登録できることがベストです。
下表に示すように、2つのネーミングとも、1~7全てを満たします。

識別力を有する商標とは、①造語商標、②恣意的商標、③暗示的商標であると言われています。以下にそれらの例を下記致します。
①造語(創作)商標 文字通り、従来無く、新たに創り出した商標です。
SONY(会社名)、ダイハツ(会社名)貯犬箱(貯金箱)、等
②恣意的商標 既に存在する単語を普通名称等に該当しない態様で使用する商標です。
アップル(コンピュータ)、かもめの玉子・萩の月(何れも菓子)、スカイライン(車)、等
③暗示的商標 商品・役務の普通名称等に近いが普通名称等を暗示的に示す商標です。
通勤快足(靴下)、熱さまシート(冷湿布)、傘ポン(傘包み)
では、「はちみつレモン」は識別力があるのでしょうか(商標登録可能でしょうか)。
答えは、「×」です。「はちみつ」と「レモン」を結合した創作商標ですが、商品の普通名称等の組み合わせであるため、商標法第3条第1項第3号によって拒絶されてしまいます。

読者の皆様におかれましても、自社の商品名・サービス名を上記評価項目によって見直し、また、今後のネーミングに際しては上記評価項目にあてはめてみては如何でしょうか。

以上

商標・意匠登録の事前保護に

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