第80回コラム 「最近の中国商標事情」

 今回は、JR「両国駅」より徒歩10分に位置する徳ノ山稲荷神社(東京都墨田区石原1-36-10)をご紹介します。同神社は、本所・深川の開発事業を推進した本所築地奉行徳山五兵衛重政の屋敷跡である当地に祀った稲荷神を創祀とするとのこと。

【正面】
【鳥居】
【神額】
【案内板】(筆者撮影)

 今回は、最近の中国商標事情と対処案をご紹介します。皆様の参考になれば幸いです。

1,登録件数
 表1に示すように、中国における商標登録は、年間700万件を超えました。
 我が国との人口比率を14倍としても、異様に多い件数です。これから、図利加害を目的とした不使用の登録商標が多いことが想像されます。
 類似商標が発見された場合であっても、不使用である可能性があるので、諦めずに中国に出願した方が良いと考えます。

2,審査に要する期間
 中国;4ヶ月  
 日本;8ヶ月

3,3年不使用取消審判に要する期間
 中国:7~9ヶ月
 日本:8.7ヶ月

 審査によって、同一又は類似商標を引用され、引用登録商標が不使用であると想定される場合、意見書において3年不使用取消審判を行ったので審判確定まで待つことを上申することになります。そうすると、早くとも、11(4+7)ヶ月を要することになります。
 よって、事前調査を行い、類似登録商標が発見された場合、出願と3年不使用取消審判を並行して行うことにより、早期権利化を図ることが好ましいです。
 また、中国の審査期間は4ヶ月ですので、優先権主張して出願した場合であっても、同一又は類似の商標が先登録される可能性があります。後願先登録商標が存在する場合、当該後願先登録商標を異議申立又は無効審判を請求して無効にする必要があります。
 これを解消するため、優先権主張出願をする場合であっても、可及的速やかに出願することをお薦めします。

4,出願人名
(1)従前の運用
  ア 3文字以内の翻訳できないアルファベットはOK
    事例 XYZ株式会社
  イ 既出願人は、アルファベットを含んでいてもOK

(2)現在の運用
   アルファベットを含んではならない『商標審査審理指南』(2021年11月16日に公表、2022年1月1日から施行)。
   上記指南では、出願人名称又は住所は中国語簡体字で表記することが規定されています。
   アルファベットを含む場合、補正指令がなされます。
   適切に応答しない場合、不受理が想定されます。
   よって、マドプロ出願をする場合、注意が必要です。

5,3年不使用取消審判
(1)従前の運用
   一部の商品における使用証拠を提出すれば、すべての指定商品における登録が維持
(2)現在の運用
   類似群をカバーできる使用証拠の提出を要求されます。証明できない類似群の商品の登録は取消されます。
 よって、類似群毎に使用証拠を提出しなければならないことに留意が必要です。

以上

商標・意匠登録の事前保護に

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