第78回コラム 「あの教団も商標権を持っていた」
今回は、JR「両国駅」西口より徒歩7分に位置する江島杉山神社(東京都墨田区千歳1-8-2)をご紹介します。同神社は、藤沢市江島神社の弁財天の御分霊をお祀りしているとのこと。幼くして失明した杉山和一は、江ノ島弁天の岩屋で修行した後、現代鍼術の主流である「管鍼術」を創作したとのこと。鍼術に対する論功によって、第5代将軍徳川綱吉より、当地を授与された後、信仰していた江ノ島弁財天を当地に勧請して祀ることを許されとのこと。
TVでは、旧世界基督教統一神霊協会(現世界平和統一家庭連合(以下「統一教会」という。))の話題で持ちきりです。
そこで、統一教会に関する知的財産状況(特許、実用新案登録、意匠登録、商標登録)状況をJ-PlatPatにて調べてみました。
下表1に示すように、商標登録出願が3件ありました。3件の登録商標は、表2に示します。
【表1】
【表2】
1第5785353号(商標「FFWPU」)、及び2第5785354号(商標「世界平和統一家庭連合」)の登録商標は、以下の区分、役務を指定しています。
第38類 報道する者に対するニュースの供給
第41類 神学の教授,書籍の制作,通訳,翻訳
第43類 研修のための宿泊施設の提供
第45類 結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供
3第6237226号(商標「MIRAIOH+図形」)の指定役務は下記の通りです。
第35類 世界平和・社会貢献活動又は慈善活動を支援するための広告他,
第41類 社会貢献活動又は慈善活動に関する知識の教授他,
3第6237226号の図形をgoogle画像検索で行ったところ、スターバックスコーヒーの画像がヒットしました。スターバックスのマークがヒットしたのは意外でした。
言わずもがなではありますが、事業の基本は、『入るを量りて出ずるを制する』(稲盛和夫氏)です。安易ではありますが、「リスク管理」と言い換えることができると思います。
リスク管理とは損失発生の可能性をなくすこと又は低減することです(日本リスク管理学会HP)。
リスク管理の1つとして、自組織の名称や商品・サービス名を保護する商標の登録は重要です。
商標登録の目的は、一般的には下記の2つです。
(1)他人の権利侵害防止
(2)模倣防止
その意味で、統一教会は事業の基本を守っていました。
皆さんの組織でも、事業の基本である商標登録を守っていただければと思います。
次に野次馬根性で、出願の履歴を調べてみました。
表3に示すように、統一教会の名称変更が認証された2015年8月26日を約6ヶ月遡る2015年2月4日に上記1及び2が出願されていました。
この頃に、名称変更が認証される確証が得られたことが推測されます。
【表3】
更なる野次馬根性で、統一教会に関連して報道されている「ピースロード※1」を調べてみました。
表4に示すように、個人が、2022/06/08に、商標「PEACE ROAD」を、第9類ゲーム機用プログラム他、第16類事務用品他、第41類技芸・スポーツ又は知識の教授他を指定して出願していました。
このような事例もあるので、自社の店名、商品名、サービス名等を予め商標出願し、事業リスクを低減することが事業の基本であると思います。
【表4】
※1 2013年から開催されている、「世界平和」「日韓友好」を掲げる自転車イベント
以上