第101回コラム 「目元用温熱アイマスクの意匠について」

今回は、東京メトロ有楽町線「新富町」駅より徒歩約1分の新富稲荷神社(しんとみいなりじんじゃ)(中央区新富2-9-4)をご紹介します。

お社は、ビルの谷間に佇んでいます。創建は不詳とのこと。境内には、歌舞伎役役者七世板東三津五郎が奉納した手水舎があります。

【鳥居】
【神額】
【手水舎】
【社殿】

(筆者撮影)


花王株式会社は2024年07月09日、「アイマスクに関する、アイリスオーヤマへの意匠権侵害差止仮処分の申立てについて」と題した概略下記のニュースを発表しました。

 「アイリスオーヤマ株式会社が販売している「モイスクルじんわりホットアイマスク」が、花王(株)が保有する意匠登録第1330629号を侵害するとして2024年7月2日に東京地方裁判所に対象製品の差止を求める仮処分の申立を行いました。」

 花王(株)によれば、同社は1990年代から開発を始め、2007年10月に「めぐりズム蒸気でホットアイマスク」として販売を開始し、「ホットマスク」という新たな市場を確立したとのことです。

https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2024/20240709-001/

意匠登録第1330629号の意匠は、下記の通りです。

【正面図】
【背面図】
【耳掛け部を開いた状態の参考正面図】

 アイリスオーヤマ製品Moiscle(「IO意匠」という)はこちらです。

【正面図】
【背面図】

 そこで、IO意匠製品をオンラインで購入し、類似するか検討してみました。

本件登録意匠とIO意匠とは、両者とも物品が、目元用温熱シートで共通する。

【基本的構成態様における共通点】

本件登録意匠とはIO意匠は、全体として横長楕円形である点、及び上縁中央部と下側中央部から中央に向かって先すぼまりの三角形に形成された上凹部と下凹部が形成されている点において共通する。

【基本的構成態様における相違点】

本件登録意匠は楕円形の内の長楕円形であるのに対し、IO意匠は楕円形の内の長円形である点において相違する。

【具体的構成態様における共通点】

左端及び右端は、半円形である点で共通する。

上凹部及び下凹部は、本件登録意匠及びIO意匠とも左右の辺が弧状である点で共通する。

本件登録意匠及びIO意匠とも、上凹部と下凹部の先端から切り込みを有す点で共通する。

本件登録意匠及びIO意匠とも、上凹部が下凹部よりも小さい点で共通する。  本件登録意匠及びIO意匠とも、横長涙滴型の耳掛け孔が形成されている点において共通する。

【具体的構成態様における相違点】

上縁は本件登録意匠が上側に湾曲した弧状であり、IO意匠は端部へ向かって僅かな角度で傾斜する直線によって構成された山形であり、下縁は本件登録意匠が下側に湾曲した弧状であり、IO意匠の下端は直線である点で相違する。

本件登録意匠における耳掛け孔は大凡水平であるのに対し、IO意匠においては中央に向かって下向きに傾斜する点が異なる。

【総合判断】

基本的構成態様において、横長楕円形である点で共通し、需要者の注意を惹きやすいと思われます。

一方、基本的構成態様における相違点である、本件登録意匠の横長楕円形とIO意匠の長円形は、需要者の注意を惹き難いと思われます。

具体的構成態様において、上縁が本件登録意匠は弧状であるのに対し、IO意匠は傾斜が僅かな山形であること、下縁が本件登録意匠は弧状であるのに対し、IO意匠は直線であること、及び耳掛け孔が、本件登録意匠は水平に延在して形成されているのに対し、IO意匠においては中央に向かって下向きに傾斜する点が異なりますが、需要者の注意を惹き難いと思われます。

したがって、個人的には、本件登録意匠とIO意匠は類似であると考えますが、裁判の帰趨がどうなるか楽しみです。