第100回コラム 「先使用権対策は業務ルール作りから」

今回は、JR京葉線・東京メトロ日比谷線「八丁堀」駅より徒歩約6分の鐵砲洲神社(てっぽうずじんじゃ)(中央区湊1-6-7)をご紹介します。

平安時代に凶作に悩む荏原郡桜田郷の住人が産土神(※1)を生成大神として祀ったことに始まるとされています。

(※1)産土神(うぶすながみ)とは、神道において、生まれた土地の守護神であり、生まれる前から死んだ後まで一生を通じて守護してくれると信じられている。

【鳥居】
【社殿】

【手水舎】

【神楽殿】

本号は、記念すべき第100号です。

2013年に第1号が発刊され、一時中断がありましたが、節目の100号に達しました。

今後も出来る限り、皆様のお役に立つ情報を提供して参りたいと思います。


自社においてなした発明を実施、又は戦略的に秘匿していたしていたところ、図らずも他社によって特許権を取得された場合、先使用権を有するかが問題になるものと思われます。

先使用権の要件は、下記です。

  ① 特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、

  ② 又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、

  ③ 特許出願の際現に日本国内において、

  ④ その発明の実施である事業をしている者

  ⑤ 又はその事業の準備をしている者

秘匿戦略をとっている場合、先使用権を立証できる資料を準備、保管していると思われますが、準備をしていない場合は慌てると思います。
しかし、日常の業務をきちんと行っていれば、心配をすることは無いと思います。

上記要件の中で、①は研究開発ノート、設計図、仕様書等、実験報告書、試作品等によって、②は前記①の資料に加えて実施契約書等によって証明し、これらは比較的容易に準備できると思われます。

これら書類における注意点は、作成者名及び日付が記載されていることです。

③+④については、生産ライン機器や原材料の発注書、納品書及び検収書、販売の納品書、受領書等が必要と思われます。

③+⑤については、比較的困難であると思われます。

特に、生産ライン等の発注前である場合、会社として実施の準備をしていたことを証明しなければなりません。
例えば、当該発明の実施を決定した取締会の議事録が必要です。

小規模企業である場合、議事録はeメールで作成することがあると思われます。
eメールで作成する場合であっても、5W1Hに沿って当該メールに記載すべきと思います。

そして、これらの資料が、日常業務を遂行する中で自ずと作成され、保存されるように社内の業務遂行ルールを作ることが重要と考えます。

また、各書類の保存期間も重要であり、特許権の有効期間を考慮し、20年以上の保存期間が必要と考えます。
また、容易に取り出せるように、保存方法も重要です。
このように、社内のルールを定め、ルールに従って業務を推進することによって、先使用権の立証も容易になると考えます。