第98回コラム 「ピアノシューズ特許権侵害事件からの教訓」

 今回は、東京メトロ・都営浅草線「東銀座」駅より徒歩約0分の歌舞伎座の一角に鎮座する、歌舞伎稲荷神社(かぶきいなりじんじゃ)(中央区銀座4-12-15)をご紹介します。歌舞伎興行の大入りや安全、お客様や舞台関係者の平穏無事、また、近隣の平安、火伏の守護などを祈願して祀られています。

【外観】
 
【鳥居】
 
【神額】
 
【社殿】
(筆者撮影)

 2024年3月、竜ケ崎署は特許権違反(侵害)で神戸市の会社役員を逮捕したとのニュースが流れました。龍ケ崎と特許権侵害のワードに引っかかったので調べてみました。龍ケ崎市は、私の古里の隣町だからです。

【侵害品】
 

 本特許権侵害事件の概要は以下の通りです。
 特許権者は、お嬢さんがピアノのペダルが踏みにくい、疲れるとの悩みを解決するため、ピアノシューズの改良に取り組んだとのことです。お嬢さんが登校した後、ホームセンターの木工室で試作品を作成し、試してみるとの繰り返しだったそうです。あるとき、木の模型をつま先側においてペダルを踏むと踏みやすいとの言葉に閃き、踵の位置が肝であることに気づいたとのことです。踵位置を1ミリ単位でデーターを取り、適切な寸法を見つけると共に、特許がとれるのではと考え、特許出願をしたそうです。ゲーム会社に勤務していた経験が、特許出願に結びついたように思われます。
 (出所:https://www.nhk.or.jp/mito-blog/500/485605.html
本特許権は以下の通りです。
特許番号 特許第5470498号 発明の名称 ピアノ演奏用の靴
出願日:2013年9月17日
登録日:2014年4月16日 
【特許請求の範囲】
 【請求項1】
 甲革と、ヒールを備えた靴底と、で靴本体部が構成されたピアノ演奏用の靴であって、靴のサイズをD、前記靴底の後端から前記ヒールの後端までのずれ距離をAとしたときに、A/Dの%比率が11.9%以上になるように、前記ヒールが、前記靴底の踵位置よりも爪先位置の側にずれて配置されており、前記ヒールの後端を支点として前記靴が上下方向にシーソー動作ができるようになっていることを特徴とするピアノ演奏用の靴。

【図4】
 

 写真におけるA/D比率は、12.2%(9/74)であり、技術的範囲に入るか微妙なところです。
 侵害容疑者は、上写真のピアノシューズを13,000円~15,000円で販売し、販売数は100足以上と報道されています。
 侵害容疑者が代表を務める靴製造KEIKAは、特許権者より2015年12月~17年6月の間製造委託を受け、特許製品を製造し、納品していたとのことです。
 製造委託が終了したのは、要求品質を満たしていなかったようです。
 侵害容疑者は、製造委託契約終了後、2021年から約1年間フリマアプリ等で販売していたようです。
 本事件からの教訓
1、やはり、新商品を販売する場合、特許権等の知的財産権を取得することは重要です。良いものは必ず真似されますから。
2、製造委託契約において、同一又は類似の製造、販売禁止条項を入れることも一策です。
 皆さんにおいてご参考になれば幸いです。

以上