第79回コラム 「米国における特許表示」
今回は、JR「両国駅」西口より徒歩10分に位置する野見宿禰神社(のみのすくねじんじゃ)(東京都墨田区亀沢2-8-10)をご紹介します。同神社は、相撲の始祖で土師氏の祖とされる野見宿禰を祀るとのこと。新横綱が誕生した際、社殿前において土俵入りが行われるとのこと、境内に歴代横綱の名前を刻んだ石碑が建ってます。
ご存じの通り、米国において、特許表示の要件を満たす場合、損害賠償を請求することが出来ます。しかしながら、損害賠償を受けるにはいくつかのハードルがあります。以下、不利益を被らないようにするポイントをご紹介します。
1.特許表示要件
特許表示を行わない場合、侵害者が侵害の通知を受けた日(例えば、訴訟を提起した日、侵害通知をした日)前に発生した損害賠償を請求することはできません(米国特許法第 287 条)。
特許表示は以下の(1)~(5)を満たさなければなりません。
(1)特許物品に「patent」という文字若しくはその略語「pat.」を特許番号と共に付すること。
(2)特許物品に「patent」という文字若しくはその略語「pat.」を、特許物品と特許番号を結び付けて表示するインターネット上の掲載アドレスと共に付すこと。
(3)特許物品に表示できない場合は(1)又は(2)を包装に付すこと。
(4)実施権者がいる場合、特許権者及び実施権者が特許表示を行うこと。
(5)虚偽表示ではないこと。
虚偽表示を行った場合、物品毎にUSD500以下の罰金との下記判決があります。
(Rembrandt Wireless Techs., LP v. Samsung Elecs. Co., 853 F.3d 1370, 1383 (Fed. Cir. 2017)
期限切れ特許製品における特許表示を継続した場合、米国政府は物品毎にUSD500の制裁金を有する規定があります。
2,対応策
上記要件を勘案すると、「インターネット上の掲載アドレス」を活用することが、コスト、迅速性等において好ましいと思われます。
実務上は以下の方策が考えられます。
(1)Webサイトにおいて、製品毎に特許番号を表示する。
(2)Webサイトにおいて、製品番号又は型番を検索ボックスに入力して検索すると、特許番号が表示される。
(3)米国向けですので、当然に英語で理解出来ること。
3.その他注意点
特許表示をした場合であっても、訴状において、35 U.S.C. § 287への準拠(あるいは非準拠)について具体的に言及する必要があります。例えば、何時からどのように表示したかを説明しなければなりません。
4.参考
差止と損害賠償に関する米国と日本の制度と下表に示します。
以上