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第31回コラム「職務発明制度改正」その1
                                                 2016年2月10日

今年の元旦は天気に恵まれ、昨年ご紹介した約20Kmの初詣ジョギングを完走しました。
暖冬とはいえ、明け方の寒さは厳しく、お賽銭もまともに掴めなくなり、本町田にある菅原神社境内の焚き火で悴んだ手を温める必要がありました。その後、高速道路をとばして新装なった故郷の蛟蝄神社(2300年前創建)にて新年の祈祷を行い、無事に一日が終わりました。

さて今年の知財界のトピックは、何といっても改正職務発明制度が施行されることでしょう。皆様の会社等では既に対応を検討済みでしょうか?今後検討される皆様のご参考となる情報を、今回を含め何回かに分けて提供したいと思います。


1 特許法第35条(職務発明)改正のポイント
 (1)第3項(新設)
   職務発明の特許を受ける権利を原始的に使用者等に帰属することを認める規定です。 実用新案法及び意匠法において準用しています。
   (ただし、従来通り、従業者帰属とすることも可能(第2項)
 (2)第4項
   職務発明の特許を受ける権利の譲渡の見返りとして、旧法では「相当の対価」としていたものを、「相当の金銭その他の経済上の利益(相当の利益)」に変更された。
 (3)第6項(新設)
   経産大臣は、相当の利益を定めるためのガイドライン(指針)を定める。

2 第3項新設の意義
 (1)内容
   職務発明の特許を受ける権利を原始的に使用者等が取得することを可能にする。
 (2)何を原始的に取得するのか?
   発明と同時にその発明に対する特許を受ける権利を取得する。
   ⇒ 出願人になる権利を有する。
 (3)使用者が原始取得するにはどうすれば良いか?
   職務発明規定等に原始取得する旨を定める。

   【規定例】
職務発明については、その発明が完成した時に、会社が発明者から特許を受ける権利を取得する。ただし、会社がその権利を取得する必要がないと認めたときは、この限りでない。
 (4)その他の条文との関係はあるか?
   相当の利益を職務発明規定等に定めること(第5項)は必要条件ではないです。しかし、組織としては定めておいた方が無難です。
 (5)効果
  ①二重譲渡の問題を回避できます。
   発明者たる従業者が、自分の職務発明を自社に報告せずに、第三者にその特許を受ける権利を譲渡した場合において、当該第三者が使用者より先に特許出願をしたときは、現行制度下では、 第三者が権利者となる(二重譲渡問題)。
   ⇒ 特許を受ける権利を初めから使用者等に帰属させることにより、この問題を解決できる。

出所:改正法説明会資料「平成27年特許法等の一部を改正する法律について」P5
 ②共同発明の承継手続きの簡素化
  現行制度では、企業が、自社の従業者(共同発明者a)から特許を受ける権利を承継する場合、他社の従業者(共同発明者b)の同意も得る必要があるため、権利の承継に係る手続負担大である。
 ⇒ 特許を受ける権利を初めから使用者等に帰属させることにより、この問題を解決できる。


出所:改正法説明会資料「平成27年特許法等の一部を改正する法律について」P4  
 

以上

 次月は特許法第35項第4項について解説します。


第1回 知財界における2015年問題について (2013年8月5日)

第2回 米国における登録前情報提供制度の活用 (2013年9月2日)

第3回 意匠再考(1)部分意匠制度について (2013年10月1日)

第4回 意匠再考(2)関連意匠制度について (2013年11月6日)

第5回 中小企業の強みを生かそう (2013年12月3日)

第6回 「元気印」のキーワードと中小企業支援策の活用事例 (2014年1月9日)

第7回 産業財産権によって広範に保護したいときどうしますか? (2014年2月13日)

第8回 意匠登録出願へ出願変更を考慮した特許出願の留意点 (2014年3月4日)

第9回 中国においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースの意匠が登録可能!! (2014年4月1日)

第10回 最近の進歩性判断の傾向 (2014年5月8日)

第11回 新しい商標とは?(第1回) (2014年6月3日)

第12回 商標に何を託しますか?(第2回) (2014年7月10日)

第13回 「温故知新」従来技術を活用したイノベーションへの挑戦 (2014年8月7日)

第14回 「中国においてビジネスをする際に知財面において最低限必要なこと」 (2014年9月9日)

第15回 「異議申立制度の復活に乾杯」 (2014年10月7日)

第16回 「意匠制度の国際化」 (2014年11月5日)

第17回 「意匠の国際出願の活用について」 (2014年12月9日)

第18回 「商品・役務のネーミングについて」 (2015年1月8日)

第19回 「職務発明制度について」 (2015年2月5日)

第20回 「秘密情報の保護について」 (2015年3月10日)

第21回 「秘密情報の保護についてⅡ」 (2015年4月8日)

第22回 「自撮り棒」 (2015年5月14日)

第23回 「日本弁理士会による知財キャラバンについて」 (2015年6月9日)

第24回 「プロダクトバイプロセスクレームの最高裁判決について」 (2015年7月14日)

第25回 「Karakuriからイノベーションへ」 (2015年8月17日)

第26回 「今話題の著作権について」 (2015年9月18日)

第27回 「著作権により保護される著作物とは?」 (2015年10月22日)

第28回 「TPPの知的財産分野への影響」 (2015年11月13日)

第29回 「これでよいのか知財教育」 (2015年12月14日)

第30回 「知財教育2」 (2016年1月15日)

第32回 「職務発明制度改正」その2 特許法第35条第4項の解説 (2016年3月11日)

第33回 「職務発明制度改正」その3 「特許法第35条第5項の第6項における指針(案)を踏まえた解説」 (2016年4月19日)

第34回 「職務発明制度改正」その4 特許法第35条第5項の解説 (2016年5月18日)

第35回 「大幅な効率化のための職務発明規定の一例」 (2016年6月24日)

第36回 「御社の営業秘密管理は大丈夫ですか?」 (2016年7月22日)

第37回 「「夏休み」弁理士会活動のPR」 (2016年8月23日)

第38回 「山口大学の知財活動」 (2016年9月26日)

第39回 「取扱説明書の保護を考える」 (2016年10月18日)

本谷 孝夫(ほんや・たかお)

本谷国際特許事務所 所長(弁理士)
℡ 03-6820-8285
『特許等知的財産に関する無料相談を実施中です。
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https://honyasama.wordpress.com

略歴 日産自動車㈱で30年近く特許業務に従事
   その後旭精工㈱で知財の責任者として活躍
   (旭精工㈱は、平成22年に特許庁知財功労賞を受賞)
   平成24年11月事務所を開設。

本谷弁理士
  • 電子認証局会議
  • 株式会社日本電子公証機構 認証サービス iPROVE
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