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第3回 意匠再考(1)部分意匠制度について             2013年10月01日

 第3回と第4回は、意匠について考えてみたいと思います。
 意匠に関し、皆様はどの様な感想をお持ちでしょうか?
 登録意匠の形状のみなので権利範囲が非常に狭いと思われているのではないでしょうか?
 確かに、物品の全体の形態を保護する全体意匠については、類似の範囲が狭かったことも否めません。しかし、部分意匠制度、関連意匠制度を活用することで従来のイメージが覆されつつあります。そこで、今回は部分意匠制度の有効活用について考えてみましょう。

 ご存知の通り、「部分意匠制度」とは、物品の部分の特徴ある形態を保護する制度です。
 登録意匠の効力の及ぶ範囲は、当該登録意匠及びこれに類似する意匠にまで及びます(意匠法第23条)。
 部分意匠の類否判断は、(ア)意匠に係る物品、(イ)部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の機能・用途、(ウ)その物品の全体の中に占める部分意匠として登録を受けようとする部分の位置、大きさ、範囲、(エ)部分意匠として登録を受けようとする部分自体の形態により判断されます。

 事例1に示すように、部分意匠の対象の操作ボタンの形状が同一であって、物品が類似(メモリーカード用データ表示器とオーディオ用メモリーカードプレーヤー)であれば、操作ボタンの位置が本体の右上端部又は下端部に位置していようが、傾き角度が異なっていていようが、類似意匠であるとされています。

 【事例1】特許庁意匠課意匠審査基準室 平成24年度「意匠の審査基準と意匠制度の有効活用」 より

 これにより、従来の全体意匠の概念を超えた保護が得られることは明らかです。
 また、このことは、部分的に特徴ある意匠を保護するという部分意匠の趣旨からして当然のことであると言えます。

 裁判所においても、事例2に示すように、登録意匠に係るブラシ部分の意匠の形態が同一であれば、持ち手の形態が異なっていても、類似意匠であると判断されています。

 【事例1】特許庁意匠課意匠審査基準室 平成24年度「意匠の審査基準と意匠制度の有効活用」 より

 そして、グラフ1に示すように、部分意匠の出願比率(赤折れ線)が増加傾向にあります。
 意匠の最大の利点は外観によって類否判断できることであり、最大の欠点であった保護範囲は部分意匠制度によって改善されています。
 これらの状況から、意匠の活用を再考しては如何でしょうか。

 【グラフ1】

 特許行政年次報告書2012年版第1部第1章国内外の出願・登録状況と審査・審判の現状 26ページ


 

第1回 知財界における2015年問題について (2013年8月5日)

第2回 米国における登録前情報提供制度の活用 (2013年9月2日)

第4回 意匠再考(2)関連意匠制度について (2013年11月6日)

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第6回 「元気印」のキーワードと中小企業支援策の活用事例 (2014年1月9日)

第7回 産業財産権によって広範に保護したいときどうしますか? (2014年2月13日)

第8回 意匠登録出願へ出願変更を考慮した特許出願の留意点 (2014年3月4日)

第9回 中国においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースの意匠が登録可能!! (2014年4月1日)

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第17回 「意匠の国際出願の活用について」 (2014年12月9日)

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第22回 「自撮り棒」 (2015年5月14日)

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第24回 「プロダクトバイプロセスクレームの最高裁判決について」 (2015年7月14日)

第25回 「Karakuriからイノベーションへ」 (2015年8月17日)

第26回 「今話題の著作権について」 (2015年9月18日)

第27回 「著作権により保護される著作物とは?」 (2015年10月22日)

第28回 「TPPの知的財産分野への影響」 (2015年11月13日)

第29回 「これで良いのか知財教育」 (2015年12月14日)

第30回 「知財教育2」 (2016年1月15日)

第31回 「職務発明制度改正」その1 (2016年2月10日)

第32回 「職務発明制度改正」その2 特許法第35条第4項の解説 (2016年3月11日)

第33回 「職務発明制度改正」その3 「特許法第35条第5項の第6項における指針(案)を踏まえた解説」 (2016年4月19日)

第34回 「職務発明制度改正」その4 特許法第35条第5項の解説 (2016年5月18日)

第35回 「大幅な効率化のための職務発明規定の一例」 (2016年6月24日)

第36回 「御社の営業秘密管理は大丈夫ですか?」 (2016年7月22日)

第37回 「「夏休み」弁理士会活動のPR」 (2016年8月23日)

第38回 「山口大学の知財活動」 (2016年9月26日)

第39回 「取扱説明書の保護を考える」 (2016年10月18日)

本谷 孝夫(ほんや・たかお)

本谷国際特許事務所 所長(弁理士)
℡ 03-6820-8285
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https://honyasama.wordpress.com

略歴 日産自動車㈱で30年近く特許業務に従事
   その後旭精工㈱で知財の責任者として活躍
   (旭精工㈱は、平成22年に特許庁知財功労賞を受賞)
   平成24年11月事務所を開設。

本谷弁理士
  • 電子認証局会議
  • 株式会社日本電子公証機構 認証サービス iPROVE
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