• TOP
  • コラム

コラム

コラム概要

第17回 「意匠の国際出願の活用について」
                                               2014年12月09日

 早いもので今年もあと二十日程を残すのみとなり、本コラムも今年最後の回となります。
 私の事務所はJR御茶ノ水駅とJR秋葉原駅の中間にある神田淡路町にあり、近くには蕎麦で有名な「かんだやぶそば」さんや「神田まつや」さん、更には、夏目漱石が好んで食べたという「洋風かき揚げ」の松栄亭があります。ご存じの方も多いかと思いますが 「かんだやぶそば」は昨年の2月の火事により、その歴史的建造物の一部を消失してしまいましたが、最近新しい店舗が完成し10月21日より営業を再開しました。
 「かんだやぶそば」や「神田まつや」だけでなく、ここ神田淡路町近辺は、ワテラスなど最新なオフィスビルも林立する中、昭和の名残を残す料理屋も多くあり、散策しながら昭和の雰囲気を感じることができます。
皆様もお近くにお出かけの際は、是非神田淡路町あたりを散策されては如何でしょうか。

 さて前回は、意匠の国際出願に関する概要をご紹介しました。今回は、前回お伝えできなかった最新情報をお伝えすると共に、当該国際出願の活用について考えたいと思います。

A 最新情報
 1.加盟状況について
  韓国は2014年7月から意匠の国際出願の受付を始めました。
  米国は2015年に発効する模様につき、早ければ2015年から出願受付が開始されると思われます。
  中国も加入に向けて準備中につき、早ければ2016年から出願可能になると思われます。
  ASEANも加盟に向けて検討中ですが、出願可能時期は不明です。

 2.出願
 (1)言語は、英語、仏語又はスペイン語の何れかを使用します。複数言語の混在はNGです。
 (2)韓国及び中国は、意匠ついての簡単な説明が求められます。我が国は説明を求めません(ジュネーブ改正協定
  第5条(2))。
 (3)手書き図面では出願できません。シート状物品の場合、取りあえず現物を添付した出願は可能ですが、後日、
  図面を提出しなければならなりません。すなわち、図面が必須です。
 (4)意匠に係る物品に複数分類が入ってしまった場合、事務局から通報されます。この場合、分割出願が可能です。
 (5)出願日は、日本特許庁に提出した場合日本時間によって認定され、WIPO事務局に提出した場合スイス時間に
  よって認定されますので、関連意匠を出願する場合、注意が必要です。
 (6)図面は、我が国仕様であれば、問題ありません。写真を提出する場合、米国では認容されませんので注意
  が必要です。
 (7)部分意匠を出願する場合、説明欄に部分意匠である旨の記載が必要です。

  なお、参考資料として「国際意匠出願の書式(和訳付き)が下記の特許庁HPで公開されています。
  http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_15paper.htm
  (配布資料の中の参考資料2)

 3.多意匠出願と加盟国における1意匠1出願との関係
 (1)国際事務局は、出願毎に、原則出願日から6月後に公開します。したがって、出願公開は、同一分類内の物品が
  ひとかたまりになって公開されます。例えば、分類が家具の場合、テーブル、椅子、キャビネット等が1つの出願中
  に混在します。OHIMは登録公報を発行しないため、欧州意匠を調査する場合、非常にノイズが多くなることが
  想定されます。
 (2)多意匠出願の場合、韓国においては分割出願が必要であり、米国においては分割に準じた手続きが必要で
  ありますが、何ら通知されないため、意匠権を取り損ねる可能性があります。関連意匠の多意匠出願であっても、
  米国は個別に出願した方が良いと考えます。

 4.審査
 (1)我が国において、多意匠出願は意匠毎に審査され、意匠毎に登録番号を付与され、意匠毎に意匠公報が発行
  され、意匠毎に登録証が発行されます。
  韓国及び米国も同様であると見込まれます。
 (2)国際事務局は、審査において拒絶された意匠は公表しませんので、拒絶されたことを確認するには、国際登録
  簿を閲覧し、確認する必要があります。国際登録簿の閲覧は有料です。

 5.登録料
  出願時に5年分の登録料を前払いしますが、拒絶された場合、我が国は登録料を返還しますが、米国及び韓国
 では返還されません。

B 活用
 1.コスト削減効果
 (1)各国毎の代理人が不要につき、コスト削減効果が大きいと見込まれます。
  国内出願し、何らの通知を受けなければ、代理人費用は発生しません。但し、拒絶理由通知を受けた場合、国毎
  に対応しなければならないため、国毎に代理人費用が発生します。
 (2)多意匠登録を認める国においては、1出願において同一分類であれば、最大100意匠まで含めることができる
  ため、大幅なコスト低減が見込めます。但し、米国又は韓国を含む場合、1出願1意匠制度が適用されるため、
  分割手続きが必要になります。米国及び韓国については当初から個別に出願した方が良いと思われます。

 2.管理工数の低減
  維持費は5年ごとに国際事務局へ支払いますので、大幅に管理工数が削減できそうです。

最後に、現時点では情報が少ないため十分な活用法をお伝えすることができませんでした。
もう少し情報が入った時点において、活用法について再度検討したいと思います。

来年も宜しくお願い申し上げます。

以上


 

第1回 知財界における2015年問題について (2013年8月5日)

第2回 米国における登録前情報提供制度の活用 (2013年9月2日)

第3回 意匠再考(1)部分意匠制度について (2013年10月1日)

第4回 意匠再考(2)関連意匠制度について (2013年11月6日)

第5回 中小企業の強みを生かそう (2013年12月3日)

第6回 「元気印」のキーワードと中小企業支援策の活用事例 (2014年1月9日)

第7回 産業財産権によって広範に保護したいときどうしますか? (2014年2月13日)

第8回 意匠登録出願へ出願変更を考慮した特許出願の留意点 (2014年3月4日)

第9回 中国においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースの意匠が登録可能!! (2014年4月1日)

第10回 最近の進歩性判断の傾向 (2014年5月8日)

第11回 新しい商標とは?(第1回) (2014年6月3日)

第12回 商標に何を託しますか?(第2回) (2014年7月10日)

第13回 「温故知新」従来技術を活用したイノベーションへの挑戦 (2014年8月7日)

第14回 「中国においてビジネスをする際に知財面において最低限必要なこと」 (2014年9月9日)

第15回 「異議申立制度の復活に乾杯」 (2014年10月7日)

第16回 「意匠制度の国際化」 (2014年11月5日)

第18回 「商品・役務のネーミングについて」 (2015年1月8日)

第19回 「職務発明制度について」 (2015年2月5日)

第20回 「秘密情報の保護について」 (2015年3月10日)

第21回 「秘密情報の保護についてⅡ」 (2015年4月8日)

第22回 「自撮り棒」 (2015年5月14日)

第23回 「日本弁理士会による知財キャラバンについて」 (2015年6月9日)

第24回 「プロダクトバイプロセスクレームの最高裁判決について」 (2015年7月14日)

第25回 「Karakuriからイノベーションへ」 (2015年8月17日)

第26回 「今話題の著作権について」 (2015年9月18日)

第27回 「著作権により保護される著作物とは?」 (2015年10月22日)

第28回 「TPPの知的財産分野への影響」 (2015年11月13日)

第29回 「これで良いのか知財教育」 (2015年12月14日)

第30回 「知財教育2」 (2016年1月15日)

第31回 「職務発明制度改正」その1 (2016年2月10日)

第32回 「職務発明制度改正」その2 特許法第35条第4項の解説 (2016年3月11日)

第33回 「職務発明制度改正」その3 「特許法第35条第5項の第6項における指針(案)を踏まえた解説」 (2016年4月19日)

第34回 「職務発明制度改正」その4 特許法第35条第5項の解説 (2016年5月18日)

第35回 「大幅な効率化のための職務発明規定の一例」 (2016年6月24日)

第36回 「御社の営業秘密管理は大丈夫ですか?」 (2016年7月22日)

第37回 「「夏休み」弁理士会活動のPR」 (2016年8月23日)

第38回 「山口大学の知財活動」 (2016年9月26日)

第39回 「取扱説明書の保護を考える」 (2016年10月18日)

本谷 孝夫(ほんや・たかお)

本谷国際特許事務所 所長(弁理士)
℡ 03-6820-8285
『特許等知的財産に関する無料相談を実施中です。
お気軽にご相談ください』
https://honyasama.wordpress.com

略歴 日産自動車㈱で30年近く特許業務に従事
   その後旭精工㈱で知財の責任者として活躍
   (旭精工㈱は、平成22年に特許庁知財功労賞を受賞)
   平成24年11月事務所を開設。

本谷弁理士
  • 電子認証局会議
  • 株式会社日本電子公証機構 認証サービス iPROVE
プライバシーマーク
このページの先頭へ戻る