• TOP
  • コラム

コラム

コラム概要

第12回 商標に何を託しますか?(第2回)                    2014年07月10日

前回は、新しい商標の例をご紹介致しました。

これらの新しい商標の恩恵を受けられる企業はどの程度あるのでしょうか?小職は極めて少ないであろうと考えています。

 しかし、今回の商標法改正を契機に御社の商標戦略、言い換えれば、ブランド戦略を見直して頂きたいと思い、本稿を執筆することに致しました。

 商標法の目的は、商標を保護することにより商標に化体した信用を保護し、もって需要者を保護すると共に産業の発達に寄与することと定められています(商標法第1条)。

 そうです、商標は御社の信用が化体した財産なのです。

 商標を権利化し、商品やサービスに用いれば商標権を活用したことになるのでしょうか?表面的には商標を活用していますが、真の活用にはなっていません。

 すなわち、御社の意思が商標を通じてお客様に伝わらなければ真の意味で商標を活用したことにはなりません。御社(社長)の思いが、お客様に伝わることにより、お客様に信用され、商標に御社の信用が化体するのです。

例えば、西友のプライベートブランドとして1980年にスタートした「無印良品」を視た需要者は、何を連想するでしょうか?

シンプル(無駄がない)、品質は良い、それほど高くはない、とのイメージを連想するのは私だけでしょうか。そうです、㈱良品計画は、全ての商品・サービスを通じてこのメッセージを出し続けることで需要者にしっかりとこのイメージを印象付け、数ある選択枝の中から選択してもらえるように仕向けているのです。 具体的には、“わけあって安い”というコンセプトを打ち出し、素材の見直し、工程の点検、包装の簡略化という3つ方向を自己の商品に徹底させた「無印良品」というブランドを顧客に伝えた結果なのです。

 

第2の例を挙げれば、江崎グリコ(株)のチョコレート菓子「ポッキー」です。

「ポッキー」といえば、細長い棒状の焼き菓子(商品名「プリッツ」)の周囲を一部分を残してチョコレートで覆った菓子であることを思い浮かべるでしょう。ポッキーは、棒状の焼き菓子の周面に凹部を設けることでチョコレートの垂れを防止しました。周面に凹部を設ける技術は実用新案権化して、登録実用新案の有効期間中は独占状態とし、「ポッキー」の名前を浸透させることでスティック状のチョコレート菓子と言えば「ポッキー」のブランドを浸透させ、実用新案権が消滅した後も、高いシェアを維持しています。

商標登録第3103630号 指定商品:菓子及びパン 権利者:江崎グリコ株式会社

 同じように、御社の思いが商標を通じて需要者に伝わっていますか?

商標に込める思いが無い場合は、作って下さい。従業員と一緒になって作っても良いです。しかし、最終決定は、社長がして下さい。自己の逃げ道を無くすためです。

 そして、社長1人ではなく、全従業員で心を込め実行して下さい。社長一人ではお客様に伝わらないのです。従業員それぞれが、社長と同じ方向性を持ち、しつこく実行しなければお客様には伝わらないのです。

 その意味で、社長(経営者)は商標に込める思いを従業員に伝え、それを全従業員が実行するようにし向けなければなりません。ぜひ実行してみて下さい。

(ご参考)以下は今回の導入が見送られた新しい商標です。これらの商標も将来的には商標登録されるようになると思います。グローバル化は避けて通れないためです。

(1)「におい」の商標:嗅覚で認識される商標である。

(2)「触感」の商標:触覚で認識される商標である。

(3)「味」の商標:味覚で認識される商標である。

第2回以上


 

第1回 知財界における2015年問題について (2013年8月5日)

第2回 米国における登録前情報提供制度の活用 (2013年9月2日)

第3回 意匠再考(1)部分意匠制度について (2013年10月1日)

第4回 意匠再考(2)関連意匠制度について (2013年11月6日)

第5回 中小企業の強みを生かそう (2013年12月3日)

第6回 「元気印」のキーワードと中小企業支援策の活用事例 (2014年1月9日)

第7回 産業財産権によって広範に保護したいときどうしますか? (2014年2月13日)

第8回 意匠登録出願へ出願変更を考慮した特許出願の留意点 (2014年3月4日)

第9回 中国においてグラフィカル・ユーザー・インターフェースの意匠が登録可能!! (2014年4月1日)

第10回 最近の進歩性判断の傾向 (2014年5月8日)

第11回 新しい商標とは?(第1回) (2014年6月3日)

第13回 「温故知新」従来技術を活用したイノベーションへの挑戦 (2014年8月7日)

第14回 「中国においてビジネスをする際に知財面において最低限必要なこと」 (2014年9月9日)

第15回 「異議申立制度の復活に乾杯」 (2014年10月7日)

第16回 「意匠制度の国際化」 (2014年11月5日)

第17回 「意匠の国際出願の活用について」 (2014年12月9日)

第18回 「商品・役務のネーミングについて」 (2015年1月8日)

第19回 「職務発明制度について」 (2015年2月5日)

第20回 「秘密情報の保護について」 (2015年3月10日)

第21回 「秘密情報の保護についてⅡ」 (2015年4月8日)

第22回 「自撮り棒」 (2015年5月14日)

第23回 「日本弁理士会による知財キャラバンについて」 (2015年6月9日)

第24回 「プロダクトバイプロセスクレームの最高裁判決について」 (2015年7月14日)

第25回 「Karakuriからイノベーションへ」 (2015年8月17日)

第26回 「今話題の著作権について」 (2015年9月18日)

第27回 「著作権により保護される著作物とは?」 (2015年10月22日)

第28回 「TPPの知的財産分野への影響」 (2015年11月13日)

第29回 「これで良いのか知財教育」 (2015年12月14日)

第30回 「知財教育2」 (2016年1月15日)

第31回 「職務発明制度改正」その1 (2016年2月10日)

第32回 「職務発明制度改正」その2 特許法第35条第4項の解説 (2016年3月11日)

第33回 「職務発明制度改正」その3 「特許法第35条第5項の第6項における指針(案)を踏まえた解説」 (2016年4月19日)

第34回 「職務発明制度改正」その4 特許法第35条第5項の解説 (2016年5月18日)

第35回 「大幅な効率化のための職務発明規定の一例」 (2016年6月24日)

第36回 「御社の営業秘密管理は大丈夫ですか?」 (2016年7月22日)

第37回 「「夏休み」弁理士会活動のPR」 (2016年8月23日)

第38回 「山口大学の知財活動」 (2016年9月26日)

第39回 「取扱説明書の保護を考える」 (2016年10月18日)

本谷 孝夫(ほんや・たかお)

本谷国際特許事務所 所長(弁理士)
℡ 03-6820-8285
『特許等知的財産に関する無料相談を実施中です。
お気軽にご相談ください』
https://honyasama.wordpress.com

略歴 日産自動車㈱で30年近く特許業務に従事
   その後旭精工㈱で知財の責任者として活躍
   (旭精工㈱は、平成22年に特許庁知財功労賞を受賞)
   平成24年11月事務所を開設。

本谷弁理士
  • 電子認証局会議
  • 株式会社日本電子公証機構 認証サービス iPROVE
プライバシーマーク
このページの先頭へ戻る